ろじっくぱらだいす「木ノ下くんの初恋」レビュー


ろじっくぱらだいす、通称「ろじぱら」をご存じでしょうか。

古き良きテキストサイトのレジェンドです。2000年代にネットサーフィンをしていた人なら、一度は目にしたことがあるはず。


私も高校生のころにファンで、ブックマークに入れて毎日のように読んでいました。

大人になってからはテキストサイトを見なくなっていたのですが…


2022年になって久しぶりに名前を聞きました。まさかの謎解き界隈で。


「ワタナベくんって知ってる?」


なんとろじぱら管理人のワタナベさん、2012年頃から謎フェスに参加し、謎解き界隈で有名人になっていたらしいのです。


そこで、ワタナベさんが書かれた謎解き本をおすすめしてもらいました。

今回はワタナベさん著「木ノ下くんの初恋」のレビューです。


ストーリーはほのぼの。「ろじぱら」らしい文章


登場人物は、ろじぱらの代名詞であるキノコです。

主人公のキノコ・木ノ下くんは4月の始業式で、転校してきたキノコ・姫野に恋をします。少しずつ距離を縮めながら、さまざまなイベントをこなして1年間の学園生活を送り、3月に卒業するまでのお話です。

友人との軽い掛け合いあり、幼馴染からのキレのいいツッコミあり。「ろじぱら」らしいほのぼのした空気感で進みます。

各章につけられた、少し哀愁漂うタイトルも好きでした。


問題は謎解き>ロジック


論理クイズが多いのかなと身構えていたのですが、半分以上はひらめき系の謎解きでした。

謎解き問題はちょうどよい難易度で、スイスイ解けます。たまに詰まったら、巻末の卒業文集(という名のヒント)をチラ見しました。

ロジックの問題も、解き方のコツをうまくストーリーで解説してくれているおかげで、気持ちよく解くことができました。

ワタナベさんって、すごく頭の良い人なんだろうな。


最後のオチと全体の設計がすごい


一年間、学校生活を過ごして青春して、卒業式を終えて……まさかの結末。

「えー!」と声に出ました。


軽くネタバレをすると、いわゆる「解き直し系」で、とてもうまく設計されています。

ストーリーにちょっとした違和感はあったのですが、気持ちよく騙されました。


※解き直し……謎解きのパターンの一種。問題を解く上で前提となっていた条件が変更されたことにより、それまでの問題を解き直す必要が出てくる謎。


制作者として一番感動したのは、これまでの問題を解き直すのがとても楽だったこと。

読者に手間をかけないサービス精神が素晴らしいですし、実際にそれを設計できる才能もすごいです。


一番最後の大謎(解き直した後のギミック)に関しては、たぶん、これを初めてやったのがワタナベさんなのではないかな?と感じました。

今でこそちらほら見ますが、2014年の本なので、ここから広まったのではないかと思われます。


読後はほっこり。自分の先入観について考えさせられる内容でもあり、これを2014年に出されたこともすごくいいなと思いました。


ワタナベさんの作った謎解きイベント、過去にもいろいろあったようです。今後も制作されるかは不明ですが、いつか参加できるといいなあと思っています。

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